3章1項 NDフィルターの効果と使い方
[初心者向け]作品っぽい写真になる減光撮影
おおまか解説
NDフィルターはサーキュラーPLのように景色の前でそのままシャッターを切ると「失敗写真」にしかなりません。普通に手持ちで撮影すればブレた写真になるフィルターです。
解説前の一枚
青森県の奥入瀬渓流の九段の滝近くで撮りました。この写真は一脚だったためNDフィルターを使っていません。元絵は微妙にブレているんだけどお気に入りの一枚です。
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ちょっと勉強。NDフィルターの特徴
滝と川の撮影に行く人に
NDフィルターはわざとブレを起こさせた撮影結果を得るためのフィルター。人間の目はブレが続くような見え方はしないため、幻想的で美しい写真を意図的に残せますが、反面、使う場面は限られています。
流れる軌跡写真にする
NDフィルターは明るい外の世界に薄暗いフィルターをかけて光の量を減らすサングラスのような「減光」のフィルター。減光フィルターを使うとレンズ前で動いているものの「軌跡」を写し込むことができるようになります。
カメラを手にしたばかりの初心者さんにはちょっと難解かも。基本的には三脚が必須な撮影テクニックの一つだけど、…プロカメラマンだって別に難しい事はしていません。三脚のカメラに2~3千円のNDフィルターをかけて構図を決めてシャッターを押してるだけ。誰でも撮れます。
NDフィルターのざっくり知識
シャッター速度を遅くする
NDフィルターはレンズ前を暗くするガラス板。強制的に長い秒数をかけて暗い景色を一枚の見た目の明るさの写真にすることができ、撮影ではカメラがブレないよう固定して撮影する必要があります。
ケンコーのPRO1Dが無難
高濃度のNDフィルターでなければケンコーのPRO1DシリーズのNDフィルターが無難です。三脚を据えた時のみに使うのでZetaシリーズなどの上級コーティンググレードである必要はあまりありません。
NDフィルター自体は難しい化学技術が使われているフィルターではないのでお手頃価格。入手しやすいからノーブランド品ではなく普通に定番・大手のケンコーがいいですよ。
NDフィルターの使い方と効果
普通に滝を撮るとこう
それでは実例を見ながらNDフィルターを使うとどういう写真結果になるのかを見てみましょう。写真は白神山地の暗門の滝です。NDフィルターを使わずに手持ちで撮影しています。
瞬間写真はこう
シャッタースピードを上げて「一瞬」を切り取ると写真のように飛沫のひとつひとつがタイムストップしたような画になりますね。こちらもNDフィルターを使っていない状態の写真例です。
NDフィルターを使うとこう撮れる
ND未使用・通常撮影時
写真は秋田県にある法体の滝。こちらもNDフィルター未使用です。珍しく三脚を持っていたので、NDフィルターを使う前の写真と使った場合の写真を撮っておくことができました。
NDフィルターで滝を撮る
この写真がNDフィルターを使って滝の流れを撮影した写真です。それまでの写真例と違い、水の流れが長い光跡になって写り込むので、肉眼では存在しない印象的な画になります。
NDフィルターはサングラス。光の量を少なくさせることでカメラ自身は明るい絵にしようと「シャッターを長い時間開けてくれた」のです。ちなみに昼間にNDフィルターを使わずシャッタースピード(SS)を数秒開ける設定で撮ると写真は真っ白になっちゃいます。
参考 | 撮影+テクニック |
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定番クラスのND8フィルター
ケンコーのND8。木陰やズームでの流体撮影に向いている濃度。そういった意味では無難な濃さのNDフィルター。3絞り分減光。1/8に光量を落とします。
☆ケンコー PRO1D ND8 | ☆マルミ DHG ND8。通常、NDフィルターを使う場面は滝か小川の写真撮りくらい。その場面を考えると森の木々に覆われた山の中が多く、岩肌や土が背景で木陰なのでもともと少し暗い画面なのです。ND8は昼間の木陰にちょど良い感じのNDフィルター。
練習すれば芸術的写真が撮れる減光フィルター
シャッタースピードうんぬんのお話はカメラ初心者さんには飲み込みにくいかもしれないけれど、NDフィルターを付けてシャッターを切ってみるとすぐ理解できるのでお気軽に♪大事なのは「持ってないと現場にいて意図した幻想写真は撮れない」というコト。一枚はあってもいいんじゃないかな?