3万円前後の登山靴くらいから革製の登山靴がラインナップに上がってきます。
「革」と言えば革靴のイメージが強いかもしれませんが、明るいスエード調のヌバックレザーも天然の革製品です。
登山靴のワックス仕上げの注意点
サイズが合い、数万円を出して購入した足が痛くならない登山靴に巡り合った人は登山から帰った日・翌日にウキウキ気分で愛靴のお手入れを楽しむと思いますが、一点注意しておいたほうが良い知識をお話します。
それはコロニルのレザーワックスによるお手入れです。
ヌバックレザーの革は起毛の革
上の写真はLOWA(ローバー)のメリーナという幅広足の人向けモデルの登山靴。
購入した日にライトを当てて一眼レフで撮影しています。
ローバーのメリーナは「ヌバックレザー」と呼ばれる手触りの良い起毛の革が部分部分に使われているモデル。新品価格は3万円強でした。
ゴアテックスはヌバックレザーの内側に使われています。
お手入れなのですが、…まず下の写真を見てください。
ヌバックレザーにレザーワックスを塗ると元には戻らない
上の写真は「同じ登山靴」。メリーナさんの右と左。
LOWA(ローバー)のメリーナさんにコロニルのレザーワックスを塗ったところ、まるっきり違う登山靴になってしまいました。
全く知らなかったわけではなかったのですが、ちょっとオシャレな色の登山靴(3万円)がたった一度登山へ行って「渋いブーツ」に変貌してしまった現実は、自分でしていてかなりショッキングでした。
「こうなりますからね」という意味での情報ページです。
コロニルのレザーワックスはチューブに入った白いクリームなのですが、ヌバックレザーに塗るとこうなります。何日たっても二度とふわっとした手触りの靴には戻りません。
それを理解していれば全然OK。
登山靴の表面強度を上げるワックスクリーム
購入したてのメリーナに塗って失敗したかのような解説で始まりましたが、印象があまりにも変わって衝撃を受けてしまっただけで「そもそもこういうモノ」。
スエードのような起毛の革は岩場の岩に接触した時などは毛羽立ち、傷として目立つ靴になります。
肉眼では意味が分かりませんが表面が「起毛」状態。手触りが柔らかいのがヌバックレザーなのですが、水や汚れを受けると極細の繊維に浸み込むのでその部分の色も目立つわけです。
ひっかき傷ができても内部に使われているゴアテックスは無傷なので水分は通しません。
コロニルのレザーワックスを使うと可愛かったヌバックレザーがゴツイ革靴になりますが、強度は最強になり、傷自体が付かない靴になるのです。
新品時にワックス加工すると無傷の革靴でスタートする
上の写真はメリーナの上位版のタホープロという登山靴。
新品時はメリーナのように明るい茶色のヌバックレザーブーツなのですが、前オーナーが早い段階からワックス加工したのでしょう、入手時にはオイル(ワックス)加工仕様になっていました。
購入時の起毛革状態で登山を繰り返すと、つま先部分は岩に擦り付けた傷が増えていくものです。
でも、新品購入から間もなくの傷が少ない段階でレザーワックスを使って変身させるとその後は何年も傷が付かない写真の状態の革が続きます。「・・・ということを理解している人」が、レザーワックスでお手入れをするので…
革の登山靴=クリームみたいなのを塗る=うわーん( ;∀;)
…とならないようにしましょう。
コロニルレザーワックス×ヌバックレザー登山靴
貴重なコロニルレザーワックスの最初の塗り込みの写真です。
何日も悩んでやっと購入した初めての高級登山靴を数日で「こんなに変質」させてしまったという視点ではショックだったのですが、その後に経験していくほとんど傷が付かない強度に納得。
写真では馬毛のブラシにワックスを置いてブラッシングしていますが、後半は指で塗り込みました。靴ブラシはワックス加工後のツルツル状態になった革に使うモノ。
登山靴のワックス加工はそれこそお好みで選択
レザーワックスを塗ったヌバックレザーの登山靴は「ツルツル」ではなく、若干吸いつくようなベトベト感を残します。スティッキーな粘着系のベトベトという意味ではなくモチモチしたしっとり系の触感。
これにより、革の表面が乾燥でカピカピにひび割れることなく、理想的な状態を保ってくれます。
起毛の革と違い、水は弾く感じ。
本革の色の靴になるので見慣れれば違和感はなく、むしろ起毛色の方が「傷だらけになってまで起毛ブラシで整えて…」と感じていたかもしれません。
ワックス加工化するかは本人のお好みで。
ワックス加工&保護のお手入れは自分でできます
とある登山靴の販売サイトでは1万5千円以上でワックス加工を承っているご様子ですが、千円のコロニルのレザーワックスでできますし、業者さんもおそらく同じことしてます。
それはさておき、その後のお手入れですが、土汚れを水で落としたのち「そろそろワックス塗ろうかな~」と感じた時にチューブから指に出して塗りましょう。
アバウトな解説ですが、毎回塗るのはワックスが固着する過剰なお手入れ。
登山から帰ってくると塗りたくなりますが、過保護にせず少し放置して育ててあげましょう。
起毛のままのお手入れはスエード用のスプレーで
ワックス(オイル)仕様にしないままの登山靴がいい人は、栄養スプレーがヌバックレザー登山靴のお手入れ用品。
天然の革はもともと動物の革なので、天日にさらすとカピカピになっていきます。
爪や髪の毛(伸びた部分は再生しない)と同じように潤いを与える意味合いで防水剤入りの「栄養スプレー」があります。時々スプレーを吹きかけて色褪せの進行を遅らせてあげましょう。