釧路湿原の片隅にひっそりと復元されている旧石器時代~擦文時代の国指定の古代遺跡。
北海道が蝦夷から改称されたのは明治維新の頃。鉄器を用いたアイヌ文化以前の7世紀から13世紀頃、蝦夷地では「土器」の狩猟採集生活(=擦文時代)でした。
解説をしてきますが、大学の博士号の専門家ではなく、一般人のおしゃべりを交えています。厳密な専門用語や歴史背景にこだわっていない点をご理解ください。
一人歩きの小さな旅をはじめましょう。地元の人は日帰りでウロチョロしに行ってみよう。
北斗遺跡は釧路湿原西端にある大規模な古代遺跡
釧路湿原の釧路市湿原展望台からサテライト展望台へつながる遊歩道の途中に北斗遺跡への木道がありました。ちょっと気になったのでトコトコ歩いて行きました。
先に解説しておくと、湿原歩道の先に北斗遺跡があるのではなく、道道53号から北斗遺跡展示館への脇道があります。ちなみに同系統の「国の遺跡」は北斗遺跡のほか、登呂遺跡、標津遺跡群などがあります。
マイナーだけどかなり貴重な歴史資料地なんです。(立ち寄ってヨカッタ)
縄文時代や弥生時代の遺跡は東北地方や北海道などの東・北日本にいくつかあります。西日本に少ないのは政治の中心であり、戦乱や権力争いの歴史が繰り返されてきた地域のため。
帝(みかど)=天皇陵以外は過去の遺跡は常に塗り替わりますし、お侍さんがマンモスの化石を拾ってもゴミとして捨てるだけ。いろいろ研究する余裕があるのはある程度文化レベルが上がった世界での平和な時代になってからです。
北斗遺跡は釧路湿原の西端にあり、展示館と復元住居があります。
北斗遺跡の周辺地図
釧路湿原を望む標高20m前後の台地上の東西2,500m・南北500mの範囲に、縄文・続縄文時代の浅い円形・楕円形竪穴102軒、擦文時代の四角形竪穴232軒がくぼんだ状態で残されています。
釧路市立博物館
ついこの間まで原始時代だった古代日本
びっくりするくらい雨が降り出しそうな天気でしたが、北海道の遺跡(歴史)に興味があったので北斗展望台から足早に復元住居方面へ歩きます。
時間は真夏の夕方ころ。広大な遊歩道やサテライト展望台にも誰もいませんでした。北斗遺跡方向の木道も誰もいません。まあ、こんな天気でしたし。
森の木道を抜け、霧の中に現れたのは原始時代的な竪穴式住居。
「蝦夷=原始生活」というのは少し語弊があるのですが、人間の中身って数千年前の人も現代人も実は変わりません。現代人がアマゾンに行けばこんな「家」を作るのが精いっぱいのはず。
世界ではモンゴル帝国が世界最強の軍隊を進軍させ、西日本では元寇襲来。そんな鎌倉時代に並行して「別の国」だった蝦夷では人々は国などを作らず狩猟採集生活をしていました。
ちょっと意外に感じるかもしれませんが、数百年~数千年前の人類も今の人とそれほどかわらず、文明の利器に触れながら育てば普通に使う人になるでしょう。5千年前にはエジプトでは人力でピラミッドが建設されています。
アマゾンの原住民もオーストラリアのアボリジニもロシアのイヌイットも猿人や原人ではなく「生活文化」が違うだけ。北斗遺跡はそんな感じのアイヌ以前の竪穴式住居集落の発掘地。
農耕文化ではない狩猟採集文化の場合、土地(財産)の奪い合い自体が無いのでローテクでも土器で十分平和に暮らしていたわけです。
北斗遺跡の復元竪穴式住居
上段のようなことをアレコレ想像しながら復元された竪穴式住居の写真をパチパチ撮ります。ここから先の解説は本当に専門家の研究頼りですよね。
擦文時代の竪穴式住居はかやぶきのおうちの中で火を焚いて暮らしたのでしょう。換気の穴が外に出てました。こういうのも発掘の際に研究者が見ればわかるんでしょうね。
霧に包まれた北斗遺跡の復元住居集落。周りに誰一人いなかったので、中は覗いていませんが見学自由です。
復元なので(ロマンの無い言い方をすれば)作った人は最近の人。でも、釧路湿原のほとりで暮らしていた名も無き人々の文化を目にできるとちょっとトリップできますよね。
擦文時代ってなんぞや?
北海道の歴史をざっくりと調べてみると、マンモスを追っていた旧石器時代、土器に模様を付けて焼いて使っていた縄文時代、寒い北海道のため稲作の弥生時代がなかった続縄文時代…に続くのが擦文時代とのこと。
擦文時代は本州では飛鳥時代から鎌倉時代に相当し、アイヌ文化は擦文時代以降の文化を指すようです。
「擦文時代」という言葉自体、北海道を訪れて初めて目にしました。
史跡北斗遺跡展示館まで車で行ける
今回のお散歩は「釧路湿原展望台」の湿原遊歩道からの散策の果てにお立ち寄りしたものなのですが、通常のルートは「史跡北斗遺跡展示館」からトコトコ歩くのが正規ルートのようです。
午後4時に閉館してしまうため到着した時には開いていなかったのですが、ご近所さんやアイヌ以前の歴史も気になる人はおすすめ。
北斗遺跡展示館の裏側に復元住居への道があるのです。
ヒグマはいない(はずな)ので、森林浴もかねてお散歩・おでかけしてみると良いと思います。
道道53号の史跡北斗遺跡への入口付近の道路。
数百メートルあるのですが、道路を歩いて釧路市湿原展望台の駐車場へ戻ろうと思います。
道道53号をトコトコ上っていきます。道路にはクルマにひかれたタヌキの死体が…。この道路、人が歩いていないのでトラックやマイカーが加速して走り抜けていくので要注意。
まだ行ったことない人は観ちゃダメ
YouTubeの史跡北斗遺跡のおでかけ散策動画をピックアップ!観光地動画は「そのものズバリ」なのでまだ行ったことの無い人は見ちゃダメー。
釧路市湿原展望台のご近所にある国指定の遺跡=北斗遺跡。本州の教科書に書いていない蝦夷の暮らしに触れられます。